激安PNDは買い?

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地図データの格納にフラッシュメモリーやメモリーカードを採用したPNDが登場したおかげで、カーナビの価格は一気に下がった。それに輪をかけて、今年は3.5インチ画面を採用したコンパクトモデルが続々と登場。激安モデルだと2万円前後で買えるため、このような不況のなかでも売れ行きは上々のようだ。

そんな2万円そこそこの激安PNDを試してみる機会があった。どこのブランドのものかは言わないが、確か韓国製だったと思う。スペックをみると2GBメモリー搭載、ゼンリン地図採用。検索データも案内情報も、国内メーカーの3.5インチクラスPNDと遜色ない。

が、実際に走ってみると、気になる点もみえてくる。最も気になったのはマップマッチングの性能だ。というのも赤信号で停車中にリルートを始め、一瞬、進むべき方向を見失うことが何度かあったのだ。これは、GPSの誤差によって自車マークが実際の現在地からほんの少し動いてしまったことでルートから外れたとナビが判断し、リルートを行ったものと思われる。

思い起こせばカーナビが世に出回り始めた1990年代前半のナビがこうだった。当時は、測位の誤差が200メートルと言われていて、自車マークがピョコピョコと動き回ることもしばしば。そんな不具合を解消するためにマップマッチングという技術が確立され、GPSだけではなく車速信号やジャイロセンサーなどの情報を取り込むハイブリッド測位により、誤差があったり、GSPの信号を失っても自車マークはぴったりと現在地を示すようになった。

また、そもそもGPSレシーバーの測位性能が向上して誤差は10メートル程度に減少したため、最近ではGPSだけで測位を行うPNDであっても、GPSからの信号をしっかりと捉えてさえいれば、自車マークは安定して地図の道路上をトレースし、自車マークがふらついたり、ずれたりするものにはお目にかかる機会がなかった。先日試した国内メーカーの3.5インチPNDも実に安定した動きで「わざわざ高いフルナビを買わなくてもこれで十分じゃない?」と思ったものだ。

もちろん、激安PNDをすべて試したわけではないし、たまたま固有の機器に起きた現象かもしれない。すべての激安PNDがこうだとはいわない。また、多少、測位やマップマッチングに難があったとしても、運転に慣れていて、地図を読める人なら迷わずドライブできるだろう。そんな人にとっては、激安PNDは安くていい買い物だと思う。

ところが今、激安PNDを購入している人の多くは、助成金でETCを付けるついでにPNDも買った、とか、これまでカーナビを必要としていなかった人だという。そうであれば、これまで遠出する機会もそれほど多くないだろうし、そもそも普段はあまりクルマを運転しない人もいるだろう。そんな人が、自車位置が不安定だったり、無意味にリルートしたりするカーナビを使ったら、パニックになる人もいるだろう。

安いものにはそれなりの理由がある。もちろん、全く使い物にならないわけではなく、クセを承知で使いこなすなら問題なく道案内をこなしてくれる。しかし、運転に不慣れな人なら多少高くても、測位精度が高いPNDの購入をおすすめしておきたい。
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