音楽好きとオーディオ好きの壁
ラベル:
2013,
Ishida's Column
仕事柄か、ずっと音楽好きでいるおかげか、知人に音楽関係者は多いのだが、いつも感じるのは音楽好きとオーディオ好きの間の溝というか壁というか、大きな隔たり。音楽関係の知人の中で、オーディオに凝っている人はほとんどいないし、ましてやカーオーディオとなると皆無に近い。
僕の努力不足といわれるとそれまでだが、その溝を埋めるのは、なかなか難しい。たとえば毎年、グラストやなどの海外フェスに、年に何度も出かける友人がいる。都内ではクルマを乗り回せてて、普通の人よりは大きな音量で、好きな音楽をガンガンにかけている。
その人を何度か、僕のクルマに乗せたことがある。「音がいい!」とはいうのだが、それ以上、話は進まない。
「こういうのにするといくらかかるの?」
「50万円はかからないくらいかな。」
「あっそ、それじゃ海外フェスに2回くらい行けるね。」
これでおしまい。要するに、対価に対して何に満足するかの違いだが、その人の気持ちもわかる。僕だって、同じ状況だったら、海外フェスを選ぶ可能性大だ。それでも、いつかは「スピーカーだけでも入れ替えてみようかな?」という気持ちになるように、虎視眈々と狙ってはいるのだが…。そして、このような人たちが、スピーカーだけでも市販品に入れ替えようと思うようになれば、カーオーディオ市場は、ガラリと活性化すると思うのだ。
いろいろ話を聞くと、ほぼ決まって「オーディオは難しい」というフレーズが出てくる。「なんか蘊蓄が多くて、ついていけない…。」そんな意見がほとんどだ。
考えるに、音楽好きの人は、メロディだったりリズムだったり、音楽そのものが好きで聴いている。音質などオーディオ的な要素が入り込む割合は、ほんの1%か2%か。極端に低い。話をすると曲やミュージシャンの話題が中心だ。対してオーディオ好きは、まったく逆。音質、音色などが重要で、話の中心はオーディオ機器だったりが中心。話が難しくなるのも当然といえば当然だ。
その溝を埋めるには…。ここはひとつ、オーディオ好きが、もっと音楽に歩みよるのが近道のような気がする。
インターFMが少し前に「ラジオに魔法を取り戻す」というキャンペーンを行い、4月の改編では、スローガンを「The Real Music Station」(本物の音楽専門局)に変えた。流行に左右されない良質な音楽を提供し、かつてラジオから聴こえてきた音楽にワクワクした頃のような、音楽との出会いの場としてのラジオを目指すという意味だと理解している。
僕も、音楽が聴きたくてステレオを手に入れ、スピーカーをこっちに変えたら、音楽がもっとよく聴こえるのかなぁとかワクワクしながら、機器をグレードアップしていったものだ。おそらく多くの人はそうだと思う。今でも、音楽が中心なことに変わりはないつもりだが、もう一度、初心に帰らなければなぁと、最近つくづく思う。これからのスローガンは、インターFMをリスペクトして「カーオーディオに音楽を取り戻す」に決めた。