老犬で満喫するカーAV生活-1. 旧車がやってきた編-

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さて、石田氏に遅れること数ヶ月、記念となる野村ケンジの初投稿として、ひょんなことから引き取ることになったクルマの、カーAVグレードアップ計画をお届けしよう。

■チャプター1「旧車にカーオーディオの充実は必須!?」

 先日、ペットショップから老犬を引き取ってきた。
 というのはあくまでも例えで、実はとある修理工場から、13年落ちのクルマを譲り受けてきたのだ。走行距離は8万kmを越えたばかりであるそのクルマ、前オーナーがしっかり整備していたので、実用に耐えうるしっかりした走りをキープしていたのだが、いかんせん左ハンドル&マニュアルトランスミッションであるため、「タダでいいから」とまわりに声をかけても引き取り手はまったく現れなかったという。僕も眼中になかった車種だが、このまま処分されてしまうのはあまりに可哀想で、情にほだされて引き取ることにしたのである。
 実のところ、いまどきはこういった「まだまだ走るのにもらい手がいない」クルマがかなり増えているという。昨年前半までは海外に持ち出されたり、鉄などの資源
目当てにバンバン潰されていったらしいが、このところの世界的不景気でそういった需要もなくなり、いまは低年式車はひたすら余っている状態だという。
 僕たちが学生の頃は、こういう「ただ同然」のクルマを手に入れて、さんざん乗り回したものだった。しかしいまどきの若者は、クルマよりも大切なものが多々あるうえ、クルマを操る楽しさや、クルマを使った楽しみをあまり教わっていないので、興味がない人が多数を占めるのは仕方のないところ。けれども、10数年前に300~400万円したクルマがタダでも貰ってくれないなんて、なんて可哀想なのだろう。ということで、引き取ることにしたのである。

 さて、肝心の車種はというと、アルファロメオの155TS。しかも前期型の8V、アルファロメオ生粋の4気筒エンジン(後期型の16Vエンジンはフィアット製ベース)が搭載された最後のモデルである。社会人になりたての頃、僕の勤めていた編集部にレポートカーとして使われていたクルマと同じグレードで、そういった懐かしさも決心を固めた要因のひとつとなった。13年落ちの老犬、しかもボディカラーが赤なので、外観は色褪せや細かな傷がいくつかあり、年相応のくたびれ加減がにじみ出ている。しかし機関は話どおり至って良好。高速道路を1xxkm/h平均で数時間走り続けてもまったく問題はなかった。車検取得時に交換したのはブレーキローター&パッドのみだから、やむなく引き取ってきたとはいえ、僕にとってはラッキーな出会いだったのかもしれない。
 しかし、いくらイタリア車とはいえ、新車時のようにガンガン走り込むには心許ないのも事実。車齢を考えると、普段はクルージングを楽しみ、いざというときに短時間だけ全開で走り回るというのがせいぜいだろう。そう考えると、走ること以外の楽しみ、カーオーディオの充実度はかなりの重要性を占めてくる。

 ここでやっと本流の話、カーオーディオの話題に移ろう。
 10年以上の車齢を持つクルマで、カーライフを存分に楽しむには、ピーク性能に頼らない部分、いわゆる「ゆっくり走っていても楽しい」状態にすることだ。そういった意味では、内外装のドレスアップも楽しいが、本命はやはりカーオーディオだと思う。普段は良い音を聴きながら街中を流し、いざというときは音楽をオフにしてエンジン音の勇ましさを楽しむ。そういったスタイルが、クルマを存分に楽しみながらも大事に乗り続けられるコツだと僕は思う。
 そこで、この155TSをサンプルとしつつ、「旧車カーライフを存分に楽しむためのカーオーディオプラン」と、それにまつわる重要なポイントを、数回に分けて紹介していきたいと思う。

以下次回は、旧車にとっての基本ポイントと、アイテム選びをお届けしよう。