7月24日、地デジ完全移行は可能?

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4月1日の記者会見で、片山総務大臣が、7月24日のアナログ放送終了&完全地デジ化を実施するかについて「まず調査することが大事だ」と述べ、地デジへの完全移行を延期することもあり得ることを示唆したそうだ。これは、ある意味、当然だろう。

というのも、東日本大震災前の3月4日、立教大の砂川浩慶准教授らが、低所得者や高齢者世帯を中心に地デジ対応が遅れていると指摘。「アナログ放送の終了を全国32の放送エリアごとに段階的に終了することを認めるべき」と、地デジ完全移行延期の要求書を出している。その上で、今回の震災。被災地ではアンテナや中継局が被害を受けた可能性があるし、難視聴地域の解消や、低所得者向けの支援にも遅れが出る可能性がある。このような状況で、地デジへ完全移行したなら、TVを試聴不可能な世帯が続出という事態になりかねないのだ。まずは調査を進めて状況を把握し、完全地デジ化延期も含めて、柔軟な対応が必要だと思う。

論外なのは民放連の広瀬道貞会長。被災状況もまともに把握していない4月17日の段階で、計画通りに7月24日に地デジへの完全移行を目指す考えを示したという。しかも、被害が大きい地域へは、政府が地デジ対応TVを配布するよう求める意向を示したというから、開いた口がふさがらない。セリーグの通常スケジュール通りの開幕をごり押ししようとしたナベ●ネみたいですね。老害。そんなに地デジ化をごり押ししたいなら、民放連が地デジ対応TVを無償提供すればいいと思うのだが。

もとより、この電力不足。庶民が節電に励んでいる時に、TVは地デジとアナログ放送の電波を送出している。どちらか1本にすれば、ずいぶん節電できるはずだ。この場合、現段階なら地デジ放送をいったん止めるってことになろう。そうすることで、かえってデジタル放送のありがたみが、わかって、地デジ化に拍車がかかると思うのだが。また、地デジチューナーを製造している工場が被災して、 7月までに予定していた個数を製造するのは不可能という話も出ている。いずれにせよ、こんな状態で、7月24日の完全地デジ化はできないのではないだろうか。

延期を渋る理由として、地デジ化によって空いたアナログ放送の周波数帯を、2012年春に開始予定の携帯向け次世代放送などに使うことが決まっているとか、アナログ放送機器の製造が終わっているので、メンテナンスに支障が出るなどがある。が、大震災という非常時なのだから、地デジ完全移行延期とともに携帯向け次世代放送の延期だってできるだろうし、機器のメンテナンスだって、難しくないはずだ。要は、一度決めたスケジュールは変えたくないだけ。前例主義。それが、今回の原発に対する後手後手の対応にも現れていると思うのだが。

いずれにせよ、今回、世界から賞賛された冷静さと忍耐力があれば、7月24日の地デジ完全移行が延期されたくらいで、大騒動にはならないと思う。



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