イベント展示のデモカーを見て気になったこと

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2月9日、大阪オートメッセに行ってきた。このようなイベントに出かけた時は、一般の来場客の雑談に聞き耳を立てるようにしているのだが、その中で気になる声が聞こえてきた。「いくら音が良くても、これは無しやな」……。


そのお客が直前に視聴していたのは、カロッツェリアのデモカーのトヨタ86。その人を捕まえて、どこが「無し」なのかじっくりと聞けばよかったが、その気持ちは何となくわかる。音がいいのはわかるが、自分のクルマにあのような形でスピーカーが付くのはイヤだという意味だろう。

僕も含めて、カーオーディオに理解がある人であれば、普通に見える取り付けだが、オートメッセの来場者はそんな人ばかりではない。むしろ大半は、カーオーディオに接するのは初めてだろう。そんな人がカーオーディオに興味を持ち、視聴してみようと思ってクルマに乗り込んだ時、ピラーに付いたスピーカーがド〜ンと目立っているのでは、思わず引いてしまうのも無理は無い。しかも、若干ではあるが、フロントウインドウや三角窓にかぶって前方視界を妨げてしまっている。こうなると、車検に厳しい場所なら、車検が通らないことだってあり得る…。ということを考えると、カーオーディオに初めて接する人が違和感を感じてしまっても仕方ないのではないか。

もちろん、自社製品の最高のポテンシャルを引き出すために、インストールにこだわっているのは理解できる。トゥイーター、ミッドレンジ、ウーファーが縦に一直線に並べているあたりは、相当にこだわった結果だろうし、条件もいいと思う。しかし、カーオーディオに興味を示しかけた人に、いきなりこれを理解しろといっても無理な話。もしかしたら、カーオーディオの間口を狭めているのは、このようなデモカーだったりして…。

ビーウィズの1台は純正位置に装着
カロッツェリアが展示していたデモカーは2台。それならば、せめて1台は普通のお客がとっつきやすいような、手軽なクルマという手もあったのではないか。実際、ビーウィズの2台のうち1台は、純正位置に同社のベーシックスピーカー、BE-FITシリーズを組み込んだシンプルな取り付けだったし、デモカーを4台並べたダイヤトーンは、純正スピーカーのままデッキをDIATONE SOUND.NAVIに替えただけのものから、DIATONE SOUND.NAVI+DS-G20のもの、それにサブウーファーのSW-G50を加えたもの、フロントスピーカーにDS-SA3を使用したものと、取り付け面でも価格的にもバリエーションを揃えていた。まあ、展示台数が多いからできることでもあるが、カーオーディオとくにハイエンドといわれる高級カーオーディオ市場がシュリンク傾向にある今、メーカーにはカーオーディオ人口の底辺の拡大を図る役割が求められていると思う。オートメッセのような多くの客が集まるイベントでは、メーカーにはぜひそのあたりを考慮したデモカーの展示をお願いしたいものだ。カスタムオーディオの人口は減ったとしても、その裏には普通のクルマ好き&音楽好きが山のようにいるはずだから。